社名株式会社FAR EASTさま
- 企業規模
- 51名〜300名
サーベイと分析会は組織を良くするための相乗効果がある
部門の分析会では、サーベイから見えてくる課題に対し、会社と部門のどちらが取り組むべきなのか、人によって認識が異なっていたんです。まずはみんなの認識を揃えるために、関係性の質を高めるワークを実施しました。
関係性を深めるために分析会をやるケースもあり、サーベイと分析会は組織を良くするための相乗効果があると感じています。
組織の強みや課題を把握するなら「エンゲージメントサーベイ」がおすすめ。
サーベイの結果を確実にアクションにつなげられるように、進め方や分析のコツを学んでみましょう。
エンゲージメントサーベイとは何か、理解を深めましょう。
前提の知識を揃えることで、自社での取り組みもスムーズになります。
エンゲージメントサーベイは「組織の健康診断」とたとえられる通り、組織や従業員自身に関して幅広く問いかけることで、組織の課題や強みがどの分野にあるのかをあぶり出します。
健康診断は、問題を発見するだけではなく、問題がないことを確認したり、問題の予兆を見つけたりすることにも価値があります。また定期的に実施することで、健康状態を把握し続けることが重要です。エンゲージメントサーベイも同様に、課題に対する施策の実施や観察を続けながら、組織の状態を把握し続けることを目的に取り組みます。
おすすめは全社。結果の分析やアクションの検討は細分化も
組織は所属するすべての人によって成り立つものなので、組織改善のための可視化を目的とするエンゲージメントサーベイは、全社を対象に実施します。まずは全社の傾向を掴んだら、次のステップとして、結果の分析や課題の深掘り、改善施策の検討などを部署ごとやチームごとに実施していくと、より効果を上げやすくなります。
四半期に1回程度。半年以上空けるなら、合間に効果測定を
施策の効果が出るまでの期間を考慮して、3〜4か月ごとの実施をおすすめしています。事業環境や社内状況の変化のスピード、アクションが実行できているかなど、複合的に判断して頻度を決めてください。なお、サーベイの間隔が半年以上空くと、施策の効果を測りづらくなります。この場合は、合間に「効果測定サーベイ」を実施して施策のPDCAを回せるようにすると良いでしょう。
サーベイの目的は「問題の探索」。課題の仮説立てが最重要ポイント
「仮説に対する検証」の手段として実施することが多いサーベイですが、エンゲージメントサーベイは「組織のどこに課題や強みがあるのか」を探索するのが目的。組織状態を網羅的かつ詳細に分析し、定量情報から仮説を立てて検証していくことが重要です。そのためには、各組織のマネジメント層をはじめとした関係者が、どれだけ主体的に関わって取り組んでいけるかがカギになります。
まずは1年を目標に。はじめのうちはスコアもバラつく傾向があります
アクションの効果は一朝一夕で目に見えるものではなく、また、実行したからといって必ずしもスコアが改善するとは限りません。アクションの結果も組織改善の材料として、長い目で組織の状況を観察していくものと考えましょう。
一般的に、サーベイ開始から半年ほどは、回答者自身の基準が定まらずスコアもバラつく傾向があります。まずは1年間で計画を立ててみましょう。
四半期に1回実施する場合の進め方のイメージです。成果が出てきたり感触をつかめたりするようになったら、自社に合わせてチューニングしてみましょう。
1か月目
2か月目
3か月目
第2回の実施
結果をどう読み解いて課題や強みを見つけるか、課題に対するアクションの考え方などをご案内します。
ヒントや例を参考にしながら、エンゲージメントサーベイの結果を分析してみましょう。
エンゲージメントサーベイを効果的な取り組みとするための、大事な観点です。サーベイの結果を報告としてまとめる際に、また、報告を受け止めるうえでの心構えや施策の考え方の参考として確認してください。
考え方
結果の分析では、ついスコアの解釈に時間をかけてしまいがちです。しかし最も大切なのは、サーベイの結果は従業員からの声であると理解し、その声にどう応えていくかを考え、実践していくことです。「このスコアをどう解釈して良いかわからない」と迷うのは当然なので、正解を出すことを目的にしないようにしましょう。
エンゲージメントサーベイの結果とアクションプランを共有する際に、必ずしも精緻な分析ができている必要はありません。結果の透明性を高め、課題に対して着実にアクションすることを優先しましょう。
こうした姿勢を見せることで、従業員にも「一人ひとりが組織づくりの当事者であること」を認識してもらいやすくなり、エンゲージメントサーベイの実施自体がエンゲージメント向上にもつながります。
考え方
サーベイの内容は多岐にわたるため、すべての質問の結果を満遍なく見ようとすると、いずれも中途半端に終わってしまう可能性があります。また、事業や業務内容によっては関連性の低い質問もあります。「組織として大事にしたいこと・注目したいこと」を明確にし、組織にとって重要な質問を見極め、分析していきましょう。
「会社の理念が浸透し、共感が得られているか」「マネジメントがきちんと機能しているか」といった、会社として大事にしたいことや直近で注目したいテーマを明確にし、関連しそうな質問を重点的に分析していきます。
また、例えば同じ作業を繰り返すことが重要な業務であれば、「ルーチンワークよりも、創意工夫が必要なクリエイティブな仕事が多い」という質問のスコアが低くても、分析する必要性は低いと言えます。
考え方
全体傾向を見つけるうえで、他社スコアと比較したくなるものですが、比較対象は自社内とすることをおすすめします。同じ業界や規模の会社であっても社風によってスコアの傾向が異なり、有益な示唆が得られるとは言いがたいためです。効果的なアクションにつなげるためにも、自社内での相対的な傾向を把握するようにしましょう。
他社スコアとの比較は自社の大まかな傾向を把握するうえでは役立つ場合もありますが、課題に対する効果的なアクションを考えるうえではあまり役立ちません。また、他社よりスコアが高かったとしても、改善点がまったくないとは言い切れません。「全体のスコアと比べて自部署は『成長の機会』は高いが、『承認と報酬』が低い。質問ごとに深ぼって、他部署との違いを確認してみよう」といったように、自社内で比較分析しましょう。
考え方
結果の分析を進めていく過程で、特定の個人に関する課題が見えてくることがあります。しかし、特定の個人を槍玉に上げることは対象者との関係悪化を招きかねず、組織課題の解決においては効果的ではありません。“犯人探し”をするのではなく、問題はあくまで組織や人の間にあると捉え、有効な手立てを考えていきましょう。
例えば「Aさんがマネジメントしている従業員のスコアが低い」という傾向が見えたとしても、「Aさんに問題がある」と解釈するのではなく、「マネージャーとメンバーの対話の機会が少ない」など、関係性に対する課題として捉えることが重要です。また、著しく低いスコアを付けている特定の個人に対して、人事担当がヒアリングするなどのフォローは有効ですが、組織そのものの課題として行なうべきアクションがないかも考えましょう。
テクニック
結果を分析する際は、いきなり細かく分析するのではなく、以下のように、全体像を把握してから詳細を掘り下げていきましょう。
まずは「質問タグ」ごとに傾向を確認し、「質問」別では自社にとって重要な質問と、全体のスコアの上位と下位、それぞれ10%〜15%程度にあたる質問を確認します。これで全社的な傾向を掴んだら、部署・役職・勤続年数といった従業員の属性を分析軸に追加して見ていきます。自社が見るべき分析軸は、分析を重ねる過程で検討していきましょう。なお、結果をCSVで書き出せば、カスタム従業員項目などとも掛け合わせて集計できます。
テクニック
スコアの推移を分析する際は、全体平均の増減を加味して見るようにしましょう。属性別のスコアが一見大きく変動しているようでも、全体のスコアを踏まえると変化があるとは言えないこともあり、逆に属性別のスコアに変動がなかったとしても、全体のスコアが大きく変動していた場合は、変化があると捉えられるかもしれません。
例えば部署Aのスコアが前回から10%下がっていた場合、一見すると悪化したように見えますが、同時に全体のスコアが15%下がっていた場合は、部署Aのスコアの変動は相対的には小さいため、一時的な変動と見なしてよい可能性があります。なお、「12月は全社的な繁忙期なので低くなりがち」「4月は期初なので前向きな回答が多く、高くなる傾向がある」など、実施時期によってスコアが全体的に上下することもあります。
分析を通して傾向を見つけたら、分析結果に対するアクションを考えていきましょう。
自分ならどんなアクションを計画するか、考えながら例を見てみましょう。
エンゲージメントサーベイをご利用いただいているお客さま向けに、質問ごとの改善アクション例の資料をご用意しています。カスタマーサクセス担当にお問い合わせください。
たくさんの気づきがあっても、すべての課題に対して同時にアクションを取るのは現実的ではありません。多くても2つまでに整理してからアクションを検討しましょう。「組織のエンゲージメント向上」という目的を踏まえると、課題ばかりでなく、強みに着目するのもおすすめ。強みをさらに伸ばせるアクションについても考えてみましょう。
エンゲージメントサーベイの結果から得られる情報だけでは課題の解像度が低く、具体的にどんなアクションを取るべきかが明確にならないこともあります。そうした場合、「なぜそのような結果が出ているか」の仮説を立て、従業員にヒアリングしたり、追加で別のサーベイを実施したりして深掘りし、追加で得られた情報をもとに、どんなアクションが有効かを考えていきましょう。
エンゲージメントサーベイの活用の先には、事業モデルに沿った分析軸を決めたり、部門単位での改善施策を検討したりといった、より効果を上げるための手法もあります。実践を重ねていくなかで、自社の課題感や活用の方向性が見えてきたら、さらなる活用方法についても検討していきましょう。
エンゲージメントサーベイに関連する解説記事や他社事例をご紹介します。
組織のエンゲージメント向上についての理解を深め、自社の取り組みに活かせるヒントを探しましょう。
「従業員サーベイ」を使ってエンゲージメント向上に取り組む企業の事例をお届けします。
サーベイと分析会は組織を良くするための相乗効果がある
部門の分析会では、サーベイから見えてくる課題に対し、会社と部門のどちらが取り組むべきなのか、人によって認識が異なっていたんです。まずはみんなの認識を揃えるために、関係性の質を高めるワークを実施しました。
関係性を深めるために分析会をやるケースもあり、サーベイと分析会は組織を良くするための相乗効果があると感じています。
分析会議はボトムアップ型で。管理者間で改善施策を共有しあう動きに
サーベイの内容を共有する「分析会議」を年に3回、ボトムアップ型で運用していて、集まった意見を上層部の管理者に伝え、改善に向けてのアクションプランを会議で決めていきます。
結果は特定の部下だけに絞らずすべての管理者に公開していて、改善幅が良かった施策の指導内容や結果を、共有した管理者に他の管理者が教えてもらう、素敵なコミュニケーションが生まれています。
改善に向けて調査結果が表に出ることが何より大事
サーベイの結果を踏まえて課題の可視化ができたことは大きな収穫でしたし、評価や付随する人事制度の変更に向けて動き出すきっかけになりました。
経営陣に対して、従業員サーベイは組織と従業員の「健康診断」ですと伝えています。課題が「あるなら、ある」「ないなら、ない」でいいんです。改善に向けて、調査結果が表に出ることが何より大事だと考えています。
人事担当者やマネジメント層など、組織づくりに携わる方に必要な知識や考え方を解説しています。