人事担当者とマネジメント層のためのエンゲージメントサーベイの手引き

組織の強みや課題を把握するなら「エンゲージメントサーベイ」がおすすめ。
サーベイの結果を確実にアクションにつなげられるように、進め方や分析のコツを学んでみましょう。

さわって学ぼう!トレーニング

導入編基礎知識

エンゲージメントサーベイとは何か、理解を深めましょう。
前提の知識を揃えることで、自社での取り組みもスムーズになります。

基礎知識を身に付けよう

エンゲージメントサーベイとは

組織の健康診断

エンゲージメントサーベイは「組織の健康診断」とたとえられる通り、組織や従業員自身に関して幅広く問いかけることで、組織の課題や強みがどの分野にあるのかをあぶり出します。
健康診断は、問題を発見するだけではなく、問題がないことを確認したり、問題の予兆を見つけたりすることにも価値があります。また定期的に実施することで、健康状態を把握し続けることが重要です。エンゲージメントサーベイも同様に、課題に対する施策の実施や観察を続けながら、組織の状態を把握し続けることを目的に取り組みます。

SmartHRのエンゲージメントサーベイの特徴

エンゲージメントサーベイの心構え

サーベイの対象は?

おすすめは全社。結果の分析やアクションの検討は細分化も

組織は所属するすべての人によって成り立つものなので、組織改善のための可視化を目的とするエンゲージメントサーベイは、全社を対象に実施します。まずは全社の傾向を掴んだら、次のステップとして、結果の分析や課題の深掘り、改善施策の検討などを部署ごとやチームごとに実施していくと、より効果を上げやすくなります。

調査はどれくらいの頻度で実施する?

四半期に1回程度。半年以上空けるなら、合間に効果測定を

施策の効果が出るまでの期間を考慮して、3〜4か月ごとの実施をおすすめしています。事業環境や社内状況の変化のスピード、アクションが実行できているかなど、複合的に判断して頻度を決めてください。なお、サーベイの間隔が半年以上空くと、施策の効果を測りづらくなります。この場合は、合間に「効果測定サーベイ」を実施して施策のPDCAを回せるようにすると良いでしょう。

エンゲージメントサーベイの特徴は?

サーベイの目的は「問題の探索」。課題の仮説立てが最重要ポイント

「仮説に対する検証」の手段として実施することが多いサーベイですが、エンゲージメントサーベイは「組織のどこに課題や強みがあるのか」を探索するのが目的。組織状態を網羅的かつ詳細に分析し、定量情報から仮説を立てて検証していくことが重要です。そのためには、各組織のマネジメント層をはじめとした関係者が、どれだけ主体的に関わって取り組んでいけるかがカギになります。

どれくらいで効果が出てくるもの?

まずは1年を目標に。はじめのうちはスコアもバラつく傾向があります

アクションの効果は一朝一夕で目に見えるものではなく、また、実行したからといって必ずしもスコアが改善するとは限りません。アクションの結果も組織改善の材料として、長い目で組織の状況を観察していくものと考えましょう。
一般的に、サーベイ開始から半年ほどは、回答者自身の基準が定まらずスコアもバラつく傾向があります。まずは1年間で計画を立ててみましょう。

進め方をイメージしてみよう

エンゲージメントサーベイの実施サイクル

四半期に1回実施する場合の進め方のイメージです。成果が出てきたり感触をつかめたりするようになったら、自社に合わせてチューニングしてみましょう。

検討
運用計画を立てましょう。
  • 実施サイクルの検討
  • 関係者(経営層や分析会に参加するメンバー)の検討

1か月目

準備
1回目の実施要項を固めましょう。
  • スケジュールの決定
  • タスクの洗い出し
  • エンゲージメントサーベイの内容確認
  • 関係者間に実施の目的と進め方を共有、合意形成
設定
SmartHR「従業員サーベイ」の設定を進めましょう。
  • SmartHRの設定
  • アナウンスの準備
  • 分析会の予定をおさえる
第1回の実施
従業員に実施の目的を伝え、回答を集めましょう。
  • 事前のアナウンス(実施の目的、全体的な動き、回答の取り扱いなど)
  • SmartHRから依頼の送信

2か月目

分析
回答結果を集計、分析しましょう。
  • 「従業員サーベイ」でのクロス集計の作成
  • 結果のピックアップ
結果の報告と共有
結果を共有・議論する場を設け、施策を検討しましょう。
  • 全社の課題分析会
  • 部門(部署)別の結果共有会
  • 従業員への結果の共有

3か月目

施策の実行
注目すべき課題や強みに対して、アクションを実行しましょう。
運用計画の見直し
必要に応じてブラッシュアップすべき点がないか、確認・検討しましょう。
効果測定サーベイの実施
第2回の実施まで半年以上空く場合は、施策の効果を測るサーベイを実施しましょう。

第2回の実施

実践編 分析とアクション

結果をどう読み解いて課題や強みを見つけるか、課題に対するアクションの考え方などをご案内します。
ヒントや例を参考にしながら、エンゲージメントサーベイの結果を分析してみましょう。

結果を分析しよう

結果の読み解き方のヒント

エンゲージメントサーベイを効果的な取り組みとするための、大事な観点です。サーベイの結果を報告としてまとめる際に、また、報告を受け止めるうえでの心構えや施策の考え方の参考として確認してください。

有効なアクションを考えよう

分析結果に対するアクション例

分析を通して傾向を見つけたら、分析結果に対するアクションを考えていきましょう。
自分ならどんなアクションを計画するか、考えながら例を見てみましょう。

  • 質問タグ「成長の機会」に含まれる質問のスコアが全体的に低い。
  • 「職場や仕事で変化があるときには、従業員の意見が聞かれている」のスコアが低い。
  • 「上司からふさわしい評価を受けている」など、評価制度への納得度に関連する質問のスコアが低い。
  • 「一人ひとりの価値観を大事にしてくれる職場だ」のスコアが、自部署は低いが、部署Bは高い。
参考資料

エンゲージメントサーベイをご利用いただいているお客さま向けに、質問ごとの改善アクション例の資料をご用意しています。カスタマーサクセス担当にお問い合わせください。

より効果的なアクションを定めるには
「課題」と「強み」はそれぞれ最大2つまで整理しましょう

たくさんの気づきがあっても、すべての課題に対して同時にアクションを取るのは現実的ではありません。多くても2つまでに整理してからアクションを検討しましょう。「組織のエンゲージメント向上」という目的を踏まえると、課題ばかりでなく、強みに着目するのもおすすめ。強みをさらに伸ばせるアクションについても考えてみましょう。

ヒアリングを行なって「仮説」を研ぎ澄ませましょう

エンゲージメントサーベイの結果から得られる情報だけでは課題の解像度が低く、具体的にどんなアクションを取るべきかが明確にならないこともあります。そうした場合、「なぜそのような結果が出ているか」の仮説を立て、従業員にヒアリングしたり、追加で別のサーベイを実施したりして深掘りし、追加で得られた情報をもとに、どんなアクションが有効かを考えていきましょう。

組織にあわせてより効果を上げるやり方も

エンゲージメントサーベイの活用の先には、事業モデルに沿った分析軸を決めたり、部門単位での改善施策を検討したりといった、より効果を上げるための手法もあります。実践を重ねていくなかで、自社の課題感や活用の方向性が見えてきたら、さらなる活用方法についても検討していきましょう。

理解を深めるヒント集

エンゲージメントサーベイに関連する解説記事や他社事例をご紹介します。
組織のエンゲージメント向上についての理解を深め、自社の取り組みに活かせるヒントを探しましょう。

先輩ユーザーに学ぶ

「従業員サーベイ」を使ってエンゲージメント向上に取り組む企業の事例をお届けします。

社名株式会社FAR EASTさま

企業規模
51名〜300名

サーベイと分析会は組織を良くするための相乗効果がある

部門の分析会では、サーベイから見えてくる課題に対し、会社と部門のどちらが取り組むべきなのか、人によって認識が異なっていたんです。まずはみんなの認識を揃えるために、関係性の質を高めるワークを実施しました。

関係性を深めるために分析会をやるケースもあり、サーベイと分析会は組織を良くするための相乗効果があると感じています

詳しく見る

社名株式会社ハクブンさま

企業規模
1001名〜5000名

分析会議はボトムアップ型で。管理者間で改善施策を共有しあう動きに

サーベイの内容を共有する「分析会議」を年に3回、ボトムアップ型で運用していて、集まった意見を上層部の管理者に伝え、改善に向けてのアクションプランを会議で決めていきます。

結果は特定の部下だけに絞らずすべての管理者に公開していて、改善幅が良かった施策の指導内容や結果を、共有した管理者に他の管理者が教えてもらう、素敵なコミュニケーションが生まれています。

詳しく見る

社名株式会社ファイターズ スポーツ&エンターテイメントさま

企業規模
51名〜300名

改善に向けて調査結果が表に出ることが何より大事

サーベイの結果を踏まえて課題の可視化ができたことは大きな収穫でしたし、評価や付随する人事制度の変更に向けて動き出すきっかけになりました。

経営陣に対して、従業員サーベイは組織と従業員の「健康診断」ですと伝えています。課題が「あるなら、ある」「ないなら、ない」でいいんです。改善に向けて、調査結果が表に出ることが何より大事だと考えています。

詳しく見る

関連コラム

人事担当者やマネジメント層など、組織づくりに携わる方に必要な知識や考え方を解説しています。

まとめて読む